「寒の水」は、一年で最も寒い、身も凍える大寒に草越地区で行われる。
兎巾といわれるわらで作った冠をかぶり、ふんどしひとつの裸になった行者が冷水を浴び、集落内を駆けめぐりながら熊野神社へと兎巾を奉納する。五穀豊穣、無病息災、年番宿(毎年、順に新築した家が申し込んで当番となる)の繁栄を祈願する寒行の一種。
大山講の名残といわれる男祭りである。
午後4時頃、白い上衣をまとった関係者は金剛鈴、錫杖を持ち、ほら貝を吹き、太鼓をならして幣束(裂いた麻や畳んだ紙を細長い木にはさんだ祭具。おはらいに用いる。)を持った神主を先頭に「桶を出したり、水を出したり、浴びて通るは寒の水」と言いながら集落内をめぐり、祭りの始まりを告げる。
同じ頃、祭りの主役である水行者たちは年番宿に集まって用意されたわらで兎巾をつくり、出番を待つ。
夕方、寒さますますつのる頃、主役たちは粕汁で身体を温めると兎巾をかぶり、ふんどしひとつという姿で宿を飛び出していく。
各所に用意された水槽の水を浴び、凍てつく道を走り、熊野神社に兎巾を奉納して祭りは終わる。
以前は、家々の前に用意された手桶の水を浴びたのである。
元気ある者は、川の中に飛び込み、水のかけあいをしたり、それは威勢のよいものであった。
寒の水は、昭和53年6月1日に町無形民俗文化財に、平成元年8月25日には県無形民俗文化財の指定をうけた。
この貴重な文化財の指定をうけた。この貴重な文化遺産をいつまでも伝えていきたいものである。 |